認知症

認知症とは

認知症とはもの忘れは加齢によって起こる自然な症状ですが、認知症の初期にも加齢の場合とよく似たもの忘れを起こします。当院の院長はこれまでの専門的な長いキャリアを通じて認知症の治療だけでなく、認知症の予防医学も地域のより多くの方に知っていただきたいと考えるようになりました。認知症は誰でもなる可能性があり、早期発見や予防がクオリティ・オブ・ライフを維持するためにも重要な疾患です。
当院は、こころの病気や認知症などを地域の方が気軽に相談できるクリニックです。キャリアの長い専門医が丁寧に診療を行っており、臨床心理士の心理療法・心理検査も受けられるようにしています。住み慣れたホームタウンであるこの地域で、できるだけ長く快適に暮らしていただけるよう誠意を持ってサポートしていますので、患者様、ご家族の方も安心していらしてください。

こんな症状で「もしかしたら」と感じたらいらしてください

  • 人やものの名前を思い出せない
  • 出しっぱなし、しまい忘れ、置き忘れをよく起こす
  • 以前は夢中になったものに興味を持てない
  • 適切な判断をするのが難しい
  • 同じことを繰り返し聞いてしまう・話してしまう
  • 食事をしたことを忘れる・食べたものを思い出せない
  • 行き慣れた場所なのに迷った
  • やりかけて忘れてしまうことがある
  • 得意料理の味付けに失敗することがある など

ご家族の方へ

上記のような症状にご家族が気付いた場合、ご本人の心情に配慮した上で受診を提案するようおすすめしています。なかなか言い出せない場合には、ご家族の方のご相談にも応じています。

認知症の種類

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症最も多いタイプの認知症で、男性の発症が多い傾向があります。記憶の機能を持っている脳の海馬や頭頂葉の細胞が萎縮して発症します。
主な症状は、もの忘れ、同じ言動を繰り返す、人やものの名前を忘れる・間違える、現在の年月日・時間・いる場所がわからなくなる、妄想、徘徊などがあります。最初は軽いもの忘れからはじまり、進行していきます。

脳血管型認知症

脳卒中(脳梗塞、脳出血、一過性脳虚血性発作、くも膜下出血)などによる脳血管の閉塞や出血によって生じる認知症です。
閉塞や出血した場所、範囲によって起こる症状の内容や程度が大きく変わります。もの忘れや同じ言動を繰り返すといった症状から、運動麻痺・知覚麻痺・言語障害など幅広い症状があります。

その他

認知症は全体の約8割をアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症が占めていますが、それ以外にもレビー小体型認知症や前頭側頭型認知症などがあり、それぞれ原因や症状の傾向が異なります。適切な治療を受けるためにも、専門医をできるだけ早く受診することが重要です。

もの忘れとの違い

老化によって起こるもの忘れは加齢による自然な現象ですが、認知症は病気によって生じる症状や状態であり、老化によるもの忘れとは異なります。
年齢を重ねるともの覚えが悪くなり、名前を思い出せなくなることがあります。認知症でも軽度の場合にはよく似た症状を起こしますが、認知症は病気によって脳の神経細胞が破壊されてこうした症状を起こしています。認知症は進行するため、徐々に理解力や判断力が低下し、日常生活に支障を生じるようになります。

老化によるもの忘れと認知症の違いの目安

老化によるもの忘れ 認知症
原因 生理的な現象 脳の神経細胞の変性や破壊
もの忘れ 体験したことの1部を忘れるが、ヒントで思い出せる 体験したこと自体を忘れ、ヒントで思い出せない
進行 ほとんど進行しない 徐々に進行する
判断力 変化はない 低下する
自覚 もの忘れがあることを自覚している 忘れたことを自覚できない
生活 支障はほとんどない 進行により支障を生じる

加齢・認知症・脳の病気による「もの忘れ」の特徴

加齢によるもの忘れ

加齢によるもの忘れ加齢によって記憶力、筋力、免疫力などは低下していきます。トレーニングなどでも予防はある程度可能ですが、加齢によるもの忘れは生理的な現象です。
認知症や脳の病気によるもの忘れとの大きな違いになるのは、「うっかり忘れている」状態であり、きっかけがあれば思い出せます。たとえば卵を買い忘れて冷蔵庫を開けると思い出す、「鍵を持った?」と聞かれて忘れたことに気付く場合には、加齢によるもの忘れが疑われます。
また加齢によるもの忘れは進行のスピードもかなりゆるやかです。急にできなくなる・突然わからなくなるといった急激な変化を起こすこともほとんどありません。

主な特徴

  • 忘れっぽくなっていると自覚している
  • 体験自体を覚えているが、1部を忘れてしまう
  • 忘れていたことがあっても、きっかけやヒントがあれば思い出す
  • 日常生活や身に付けた技術には支障がない
  • 判断力は低下しない

認知症によるもの忘れ

もの忘れからはじまることが多いのですが、記憶・思考・理解・計算・学習・言語・判断などの能力が低下し、進行する病気です。体験をまるごと忘れてしまい、きっかけやヒントがあっても思い出せないことが繰り返される場合には認知症が疑われます。加齢によるもの忘れと判断が難しい早期の段階で適切な治療を受けることで、進行をゆるやかにできますし、生活への支障も軽減しやすくなりますので、早めにご相談ください。

主な特徴

  • 忘れっぽくなっていると自覚できていない
  • 体験したこと自体を忘れてしまい、ヒントがあっても思い出せない
  • 日常生活や身に付けた技術にも支障を生じる
  • 判断力が低下する

脳疾患によるもの忘れ

脳血管型認知症ではなく、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、水頭症といった脳疾患によって起こるもの忘れです。原因疾患によって症状の内容も変わってきます。早急に適切な治療が必要ですから、もの忘れ以外の症状がある場合には早めに専門医を受診してください。なお、MRI検査やCT検査でこうした疾患の発見が可能です。

慢性硬膜下血腫

頭痛
吐き気、嘔吐
麻痺、しびれ
痙攣
言葉が出にくい
意欲の低下

脳腫瘍

頭痛
吐き気、嘔吐
視力低下
表情の引きつり
体の片側の麻痺

水頭症

頭痛
吐き気、嘔吐
食欲不振
倦怠感

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